kurutakunの日記

ミトコンドリア病闘病中と小さな山

桜の咲く頃に。

空を見上げ、ふと目を閉じると
桜の花びらが舞い降りて来そうだ。

まるで、昨日のことみたいに覚えている。


君と手を繋いで、公園を散歩したね。


温かい…

そう言って、君は僕の手を握り返してた。

幾つもの季節を重ねて、僕たちは
夫婦になった。


けどさ。

こんな日々は、まだ序章に過ぎなかった。


大袈裟?


そう、笑うだろうか。

僕は、いったいなにができたのだろうか。

春先、花が満開のなか悪い知らせがあった。

君のお母さんが亡くなった…。

いつだったか聞いたことはある。

君がまだ、中学生の子どもらしさの残る
頃に発病したと。

けど、いくら頑張ってみても僕には
想像力を働かせるしかなかった。


君は怒るだろうな。


抗がん剤治療を繰返し、5年半再発はなかった。


10年の末、再発してしまったらしい。

君はずっと、泣いていた。

僕は、言葉をかけることが出来なかった。

二人して泣き崩れないよう、涙を堪えていたんだ。

実を言うと、僕たちが夫婦になったとき
君の家族は異国の暮らしになってしまってたね。

ひとりぼっち、日本に残された君の
寂しさなんて。
僕にはわからなかった。

いや。

わかろうとしなかった。のかも知れない…

仕事の欠員がでて、一緒に行けない僕に
君は激怒してたなあ。

でも、僕は覚えている。

君のお母さんの優しさ。

気遣い。

だって、僕が君に会いに名古屋に向かうと
帰りには弁当を持たせてくれた。

そして、君はお母さんとお別れをしに
異国のアメリカへ旅だったね。

後ろ姿が寂しく感じた。

これも、君がは内緒だけど。